ラストナイト ( 薬丸岳 )

Posted on 2019-10-20 in zakki

読書記録でも。

初期の作品の「天使のナイフ」や「闇の底」を読んで、物凄く重いものをテーマしているなあ、と感嘆した覚えがあります。特に「天使のナイフ」は初めてこの作者さんに触れた作品で、その影響が強かったのか色々な媒体でお名前を拝見したりすると中々嬉しい気持ちになったりしていました。有名なのですと(生憎読んだことが無いですが …)「夏目刑事シリーズ」などになるのでしょうか。肝心の作品を味わうことについては「闇の底」で一旦ストップしてしまい、読むことから遠ざかってしまっていました。その様な重い内容から逃げたかったのか …、はたまたお仕事に追い詰められていたのか …。

読もうとしたきっかけはスマホを新調してそこに Kindle をインストールしたことです。試しに何かを読もうかな、と考えてこちらを購入しました。

どうにかならなかったのか

作品全体に対する意見ではなく、作中の片桐さんの行動に対する感想です。

片桐さんが顔に入れ墨を入れたのも各地で罪を重ねていたことも案の定すべて一つの理由のために行われている訳ですが、その目的を達成する手段としては " 些かどうなのだろう …" と考えたしまった点はあります。何か良い方法がパッと思いつくわけでもないのですが、あまりに辛抱強くしらみつぶしな方法だったので " え … そういうやり方 …?すげーな …" と感情移入とは別の視点で思ってしまいました。作中の荒木さんにこのような台詞がありますが、(発想の道筋は別ではありますが)自分と同じ考えで " それそれ " と思わず言葉を漏らしてしまいました。

片桐の気持ちは理解できるものの、彼がとっている行動をどうしても肯定することはできない。

片桐さんの義理の兄の台詞もまた " それそれ " 感は強かったです。義理の兄の方は片桐さんが特に理由なく沢山の悪事を働いていると思ってこんな台詞を発するので、僕の思った方向性とはまたズレてしまいますが。

どうしてこんな生き方しかできなかったんだろう。

本当にそれ。

荒木さん

各パートに意味ありげに出現する荒木さんに中盤まで夢中でした。どれくらい夢中だったかというと Kindle メモの大半が " 荒木が …" となっているぐらいです。あまりにも意味ありげに出現なさるので、大ボスが出てくるまで彼が大ボスとなり得るのかなあとか朧気に考えていましたが、最終的には裏の主人公のようになられていて好きなキャラクターになりました。

彼のパートでは「ギャンブル」「ホステスに入れ揚げ」「消費者金融」と言った単語が並ぶのですが、あまりそういうものに関わりが薄い(ほぼ無い)立場からすると " そんな簡単にすってんころりんと落ちるほど単純なものなのかなあ … " といった感覚は出てきます。他人から意図的に落とされてしまったり、人生一寸先は闇であることも分かるので一概には言えないことは理解しますけども。

重いもの

「意図的に落とされた」という観点で言うとやはり今回の " 重い点 " が一番に思い出されますね。過去の重~い点は「少年犯罪」であったり「性犯罪」であったりするのですが、今回は「薬物」がそれに加わりました。中々に胸糞感が溢れる大変に効果的(?)な展開でして、ある意味その場面だけで満足してしまうレベルでした。胸糞感は結末と共に和らぐのですが、完全にゼロにはならず、残る感情として一番最初の " もうちょっとどうにかならなかったのか " 感が押し寄せました。作者さんの作風にも関連する箇所だと思いますのでこれはこれでよいと思うのですが、やはりもうちょっと …。

初めて Kindle で小説を読んだのですが別にそんなに忌避するようなものでも無かったので、もう数冊読んでみようかなと思いました。メモ機能も便利だし。

感想